設立趣旨と代表挨拶

DX ダイバーシティ有限責任事業組合 設立趣旨

日本社会は今、「障害者雇用」と「DX人材不足」という二つの大きな課題を同時に抱えています。
先端ITやデータサイエンスに高い素養を持ちながら、特性ゆえに一般的な職場環境になじみにくい方がいる一方で、
多くの中小企業はDXを進めたくても人材やノウハウが足りず、一社だけでは踏み出しにくい状況にあります。

先端ITに秀でた当事者の力を、社会の力へ

障がいのある方の中には、プログラミングやデータ分析、AIなど、先端IT分野で高い能力を発揮する方が少なくありません。
にもかかわらず、「働く場」や「学びの場」が十分に整っていないため、その力を社会に生かしきれていないのが現状です。
この課題に正面から向き合うため、私が理事長を務める NPO法人 発達障がい者を支援する会 では、2020年に先端IT特化型就労移行支援事業所「チームシャイニー」を設立し、
実務に通用する専門性の育成に取り組んでまいりました。

学びから実務へ──「チームシャイニー」と「シャイニーラボ」

次のステップとして、学びを現場の経験へとつなぐ「橋渡し」が必要だと考え、
東京都のソーシャルファーム認証・支援のもと、2022年に「シャイニーラボ」を開設しました。
就労移行で身につけたスキルを、実際の業務を通じて試し、磨き、実績へと変えていく。
その一連のプロセスを、一人ひとりの特性に合わせて設計し、社会へ羽ばたくための育成環境を整えてきました。

算定特例を活用した「DX×障害者雇用」の新しいモデル

そして2024年、事業組合等における算定特例(障害者雇用の算定特例制度)を活用し、
中小企業の皆さまと連携して新しいモデルをつくるために、「DX ダイバーシティ有限責任事業組合」を設立しました。

この組合では、組合員企業の皆さまと共に障害者雇用に取り組みながら、
先端IT・データサイエンスの力を活かしたDXプロジェクトも同時に推進していきます。
具体的には、法定雇用率の達成・維持を支援しつつ、Web・データ・AIなどの分野で
貴社の生産性向上や新たな価値創出に貢献することを目指しています。

障がいのある方の「得意」をDXの現場で活かすこと。
中小企業が単独では難しいDX人材の確保・育成を、組合という枠組みで支えること。
その両方を同時に実現することが、DX ダイバーシティ有限責任事業組合設立の趣旨です。

代表挨拶

私はこれまで、就労移行支援事業所「チームシャイニー」とソーシャルファーム「シャイニーラボ」を通じて、
多くの当事者の方々と向き合ってきました。そこで感じてきたのは、
「能力がない」のではなく、「力を発揮できる環境や役割が用意されていない」という現実です。

一方で、多くの中小企業からは、
「DXを進めたいが、どこから手をつければよいか分からない」「人材も時間も足りない」という声を伺ってきました。
障害者雇用の法定雇用率やロクイチ報告など、制度対応だけでも手一杯になりがちな中で、
DXまで同時に進めるのは簡単なことではありません。

DX ダイバーシティ有限責任事業組合は、その両方の現実を変えるための一つの答えです。
算定特例を活用しながら、先端ITに強みを持つ障がいのある方々と、中小企業のDX課題をつなぎ、
「法定雇用率の達成」と「デジタルによる生産性向上」を同時に追求していきたいと考えています。

世界に伍する日本の競争力のために、そして誰もが力を発揮できる社会のために。
ぜひ組合員としてご参画いただき、ともに新しいスタンダードを築いていきましょう。

組合代表プロフィール

吉見 祐次(よしみ ゆうじ)
DX ダイバーシティ有限責任事業組合 組合代表/ NPO法人 発達障がい者を支援する会 理事長

IT業界での経験を経て、発達障がいなど特性のある方の可能性に着目し、
NPO法人 発達障がい者を支援する会を設立。
先端IT特化型就労移行支援事業所「チームシャイニー」や、
東京都認証ソーシャルファーム「シャイニーラボ」の立ち上げを主導し、
先端IT・データサイエンス分野における人材育成と就労支援に取り組んできた。

障害者雇用とDX人材育成の現場で培った知見をもとに、
事業組合等における算定特例(障害者雇用の算定特例制度)を活用した「DX×ダイバーシティ」モデルを構想。
中小企業の法定雇用率達成とDX推進を同時に支援する枠組みとして、
DX ダイバーシティ有限責任事業組合を設立した。

今後も、当事者・企業・支援機関・教育機関など多様なステークホルダーと連携しながら、
「特性のある人の力をDXの現場で活かす」ための実践とモデルづくりを続けていく。

2024年11月25日

DX ダイバーシティ有限責任事業組合

組合代表/NPO法人 発達障がい者を支援する会 理事長 吉見 祐次