【2026年改正】障害者法定雇用率の計算と対策|エクセル・早見表・除外率を完全網羅

【2026年改正】障害者法定雇用率の計算と対策|エクセル・早見表・除外率・ペナルティまで完全網羅 障害雇用・法定雇用率ブログ

2024年4月から障害者法定雇用率は2.5%へ引き上げられ、さらに2026年には2.7%への上昇が確定しています。これにより、これまで対象外だった従業員数30名台の中小企業も新たに義務化の対象となります。

本記事では、人事担当者が必ず押さえておくべき「法定雇用率の計算式」から「週20時間未満の算入」「ダブルカウント」「2025年の除外率引き下げ」までを網羅的に解説します。

そもそも障害者雇用とは、企業が社会的責任(CSR)を果たすだけでなく、法的な義務(コンプライアンス)として取り組むべき重要課題です。未達成のリスクを回避し、計画的に雇用を進めるための実務ガイドとしてご活用ください。

2024年・2026年の障害者法定雇用率引き上げスケジュール

障害者法定雇用率は、以下のスケジュールで段階的に引き上げられます。

適用開始日法定雇用率義務発生となる従業員数
2024年(令和6年)4月〜2.5%40.0人以上
2026年(令和8年)7月〜2.7%37.5人以上

これまで「従業員数30人台後半だから関係ない」と考えていた企業も、2026年7月からは法的義務の対象となります。ハローワークからの指導対象になる前に、早期の準備が必要です。

参考リンク: 厚生労働省:障害者雇用率制度の概要

【計算式】障害者法定雇用障害者数の算出方法

自社で何人の障害者を雇用すべきか(法定雇用障害者数)は、以下の計算式で求めます。

※計算結果の小数点以下は「切り捨て」となります。

計算例(従業員150人の場合)

  • 2024年度(2.5%): 150人 × 0.025 = 3.75 → 3人
  • 2026年度(2.7%): 150人 × 0.027 = 4.05 → 4人

2026年の改正により、同じ従業員数でも必要な障害者数が1名増えるケースがあるため注意が必要です。

分母(常用労働者数)のカウントルール

計算の基礎となる従業員数は、週の所定労働時間によってカウントが変わります。

週所定労働時間カウント
30時間以上1人
20時間以上30時間未満0.5人
20時間未満

【早見表】障害者カウント方法とダブルカウント

雇用した障害者が「何人分」として計算されるかは、障害の種類・重さ・労働時間によって異なります。

カウント方法早見表(2024年4月改正対応)

週労働時間身体(重度以外)身体(重度)知的(重度以外)知的(重度)精神
30h以上1.02.01.02.01.0
20h〜30h0.51.00.51.01.0
10h〜20h00.500.50.5

重要な特例ルール

  1. ダブルカウント(2.0人換算)
    • 重度の身体・知的障害者を週30時間以上雇用した場合、1人を2人分として算定できます。
  2. 精神障害者特例(1.0人換算)
    • 精神障害者は、週20時間〜30時間の短時間勤務であっても、当分の間「1人(1.0)」として算定できます。
  3. 特定短時間労働者の算入(週10〜20時間)
    • 2024年4月より、週10時間以上20時間未満で働く「精神障害者」「重度身体障害者」「重度知的障害者」を0.5人として算定できるようになりました。

詳細確認: JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構):障害者のカウント方法について

障害者法定雇用率の計算で必要雇用数早見表【2024〜2026年版】

従業員規模ごとの必要人数(法定雇用障害者数)は以下の通りです。

従業員規模(短時間換算後)現在 (2.5%)2026年7月〜 (2.7%)
37.5人 〜 39.5人0人1人 (要注意)
40.0人 〜 74.0人1人1人 〜 2人
74.5人 〜 79.5人1人2人
80.0人 〜 111.0人2人2人 〜 3人
111.5人 〜 119.5人2人3人

※40名増えるごとに約1名必要となりますが、2.7%時代にはそのペースが早まります。

【ツール活用】エクセルでの計算・管理

複雑なカウントルールや法改正に対応するため、自社での手計算ではなく、エクセル(Excel)を活用した管理が推奨されます。

厚生労働省・JEEDの公式ツールを活用する

厚生労働省やJEEDでは、障害者雇用状況報告書を作成するためのエクセルツール等を公開しています。

  • メリット: 最新の法改正(特定短時間など)に対応しており、入力するだけで正確なカウント数が自動計算されます。
  • 使い方: 毎年6月1日の「ロクイチ報告」に合わせて公開される様式を使用することで、ミスのない報告が可能になります。

ダウンロード: 厚生労働省:障害者雇用状況報告書の様式・電子申請

自社管理シート作成のポイント

自社で管理用エクセルを作成する場合は、以下の項目をマスタ化しておくとシミュレーションが容易になります。

  1. 従業員区分: 「週30時間以上」「週20〜30時間」を明確に分ける。
  2. 障害情報: 「障害種別(身体/知的/精神)」「等級(重度判定用)」「手帳有効期限」を管理。
  3. カウント数自動化: IF関数などを用い、重度や精神の特例条件に当てはまる場合に「1.0」「2.0」と表示されるよう数式を組む。

特に精神障害者保健福祉手帳には有効期限があるため、更新漏れによる「カウント対象外」を防ぐアラート機能を設けることが重要です。

障害者法定雇用率のペナルティ(納付金)と助成金

未達成の場合:障害者雇用納付金

  • 対象: 常用労働者100人超の企業
  • 金額: 不足1人につき 月額 5万円
  • 行政指導: 改善が見られない場合、ハローワークによる指導、雇入れ計画作成命令を経て、最終的に企業名が公表されます。

納付金制度の仕組みや対象企業の詳細については、別記事「障害者雇用納付金とは?金額や対象企業を解説」でさらに詳しく解説しています。

達成した場合:調整金・報奨金

  • 調整金(100人超): 超過1人につき 月額 2.9万円
  • 報奨金(100人以下): 超過1人につき 月額 2.1万円

金銭的なメリット(調整金)よりも、未達成時のペナルティや社会的信用の損失(レピュテーションリスク)の方が経営へのインパクトは甚大です。

障害者法定雇用率のよくある質問(FAQ)

Q
小数点以下の扱いは?
A

計算結果の小数点以下は切り捨てです。(例:3.9人なら義務は3人)

Q
従業員数が何人から義務になりますか?
A

現在は40.0人以上、2026年7月からは37.5人以上の企業に義務が発生します。

Q
精神障害者のダブルカウントはありますか?
A

精神障害者にはダブルカウント(2.0換算)はありません。ただし、短時間勤務(20-30h)でも1.0人とみなす特例があります。

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  • 業務切り出し支援(Job Carving): 社内業務の棚卸しと障害者向け業務の設計
  • 採用・定着支援: ミスマッチを防ぐ採用フローの構築と、長期定着に向けた伴走支援
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まとめ:【2026年改正】障害者法定雇用率の計算と対策|エクセル・早見表・除外率

2024年の2.5%への引き上げ、2026年の2.7%への再引き上げ、そして週10時間労働者の算入開始。これらは単なる数値目標の変更ではなく、多様な働き方を認める組織への変革を求めています。

  • Step1: 自社の義務数と、2026年の必要数をシミュレーションする。
  • Step2: 業務の切り出し(Job Carving)を行い、週10〜20時間の特定短時間勤務枠を作る。
  • Step3: エクセル等で数値を管理し、除外率引き下げの影響を予測する。

「数合わせ」の採用ではなく、戦力としての障害者雇用を進めることが、結果として最も確実なコンプライアンス対策となります。

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